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どうしたら会社を存続できるのか・・・行きついた答えは「人を大切にすること」<2021・10・08>

「2021年度人を大切にする経営学会」が9月11・12日に開催

長野経済研究所で加入している「人を大切にする経営学会」が今年も9月11・12日と開催された。

今年も昨年同様コロナを受けてのオンライン開催だったが、興味深い企業事例が多く発表された。

改めて学会について説明をすると、好不況を問わず好業績を持続する企業は世の中で一定数存在するが、それらには「企業に関係する人々の幸せを最重視した経営の実践」という仮説が見いだせる。これを学問的にさらに精緻なものとするとともに、こうした経営を以て頑張る企業を応援していこうとするものだ。

およそ40年にわたり7,000社の企業の実態を研究され、人を大切にする経営の重要性を帰納的に見出された坂本光司元法政大学教授により2014年に設立された。

なんとなく難しく聞こえるが簡単に言うなら、会社や上司に非常に大切にされていると感じている社員は会社のために一生懸命に頑張るだろう。結果、企業の業績も良くなる。逆の場合には、それは望めないということだ。人の行動原理を考えれば当たり前のことである。

しかし、一般に社員を大切にしてないなどという経営者はあまりいないし、それらの企業業績が押しなべて良い訳ではない。実は、社員に聞くと「大切にされていない」との答えが多いのだ。

「人を大切にする経営」の実践はそう容易くはない。それゆえに本学会で研究を継続していく意味は大きい。

人を大切にする経営事例

大会では「日本でいちばん大切にしたい大賞」の受賞企業の事例発表があった。

経済産業大臣賞や厚生労働大臣賞、中小企業庁長官賞など主だった賞5社と、審査委員特別賞が21社表彰された。

どの企業も非常に優れた取り組みをされているが、この中から私が特に感銘した審査委員特別賞受賞企業を3社紹介したい。

子どもを就職させたいと思う会社

自分の勤める会社に自分の子供も就職させたいと、社員が願う会社は良い会社であろう。

愛知県豊橋市で製造機械などの設計・製造を手掛ける西島株式会社は凄い。

創業は1924年、間もなく100周年を迎える老舗企業だが、勤続50年とか60年という社員が多数いて、親子2代、3代で働いている社員も多い。

おばあちゃんが孫の運転する自動車で一緒に出勤してくる家族もいるのだという。

創業以来一度も定年制を敷いたことはなく、「一流の製品は一流の人格から」をモットーに「一生元気、一生現役」を理念に掲げ、現在最高年齢の技術者は勤続64年80歳の男性である。

こうした社員の優れた技術・技能を生かして、最近では人工膝関節製造など医療分野へも事業を展開しており、業績も好調だ。

ファンが多く、社員の多くが元顧客

人を大切にする良い会社は、当然にファンが多い。

あまりにその会社が好きすぎると、その会社で働きたくなるというのも人情だ。

愛知県一宮市で注文住宅を手掛ける株式会社エコ建築考房では、社員51人全員が正社員で、その中のなんと2割が「元お客さま」という会社だ。

化学物質を含まない木造の自然素材を売りにしたこだわりの家づくりを強みに、こだわりを持つお客様に価値に見合った価格で買っていただき、高収益を実現している。

それであればこそ社員を大切にできるのだ。

会社に大切にされた社員は、お客さまも大切にするというのは当然のことであり、そのため会社のファンも増え、彼ら彼女らが社員になるという好循環がうかがえる。

地域の弱者にやさしい会社

人を大切にする会社は、社員を大切にすると同時に、地域やそこの社会的弱者も大切にしている。

静岡県浜松市で自動車教習所を経営している株式会社静岡県セイブ自動車学校では、企業理念に自利他利」を掲げ、人に優しい会社になることを目指し経営を行っている。

その活動の1つが、養護施設の子供たちに対する無償での免許取得支援だ。

養護施設にいる子供たちの多くは、虐待が原因で施設での生活を余儀なくされているだけであり、自らになんらの落ち度もない。

そうした子ども達を支援することは、社会的存在である企業の使命であると20年間で40名程の免許取得を支援している。

さらに静岡県に多いブラジル人のためポルトガル語の自動車教習も行っている。

こうした優しい社風から離職者はゼロであるばかりか、同業者からの転職者も多い。

3社とも、「会社を継続させるためにはどうしたらいいのか」と試行錯誤に明け暮れた時期もあったそうである。

そうした中、見出した結論は「人を大切にすることだ」と異口同音に述べている。

  • (初出)SBCラジオ「Jのコラム」2021年10月8日放送

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小澤 吉則(おざわ よしのり)

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