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緊急事態宣言のもと広がるK字回復という問題<2021・07・26>

長野経済研究所「四半期別業況アンケート7月調査より」

今回は長野経済研究所が四半期毎に長野県内企業約700社を対象に実施している 「四半期別業況アンケート調査」から、4-6月期の実績と7-9月期の見通しについて報告したい。

この調査は、各企業に自社の感じる業況について「良い」「悪い」「どちらでもない」を選んでもらい、「良い」から「悪い」の割合を引いた指数(DI)で、景気の動向を把握するものだ。

当然に数字が大きいほど業況は良いこととなる。

今回調査は結論から言うなら「回復する製造業と低迷する非製造業という回復の格差がより鮮明になった」となる。

2020年4月の全国での緊急事態宣言を大底に回復に転じた経済

今回の調査結果の前に、新型コロナ感染拡大以降の本調査の動きを振り返っておきたい(下図参照)。

2020年春先からの感染拡大を受け、4月から5月に全国で「緊急事態宣言」が発出された。

感染防止のため人々の移動を制限したことから、経済活動も強制停止となった。

その結果、小売、サービス、観光業などを含む非製造業の4-6月期のDIはマイナス54.6と大幅な悪化となった。

一方の製造業でも、国内の自動車メーカーの工場が停止したことなどからマイナス67.4とリーマンショック時に次ぐ大幅な悪化となった。

その後の緊急事態宣言解除に伴い、景況感は徐々に回復を遂げ、10-12月期には製造業はマイナス25.6ポイント、非製造業はマイナス27.1ポイントまで戻した。

2度目の緊急事態宣言以降広がる製造業・非製造業の格差

ところが、21年に入りコロナ感染が再拡大し、1月より東京など首都圏などでの2度目の緊急事態宣言が発出され、観光業支援対策として打ち出されていたGO-TOキャンペーンも停止された。

首都圏を主な市場とする長野県観光地への来客は減少し、この時期の観光業を含む非製造業の業況感はマイナス31.7へと再び悪化に転じた。

一方で、製造業はリモート勤務の広がりから情報機器需要の増加、5Gやデータセンター関連の設備投資の国内外での伸び、自動車関連需要の増加を背景に景況感はマイナス7.7にまで改善した。

結果、製造業、非製造業のDIは24ポイントの差が生じた。

そして、今回の4-6月期だが、製造業は持続する需要の増加から遂に+15.1とプラスに転じた。

一方で、非製造業は東京、大阪、愛知などの3回目の緊急事態宣言が観光関連業種の業績を下押ししたことから、マイナス26.4と停滞が続いている。

その結果、製造業、非製造業のDIの差は41.5となり、1-3月期より17.5ポイントも格差が広がった。

今後の7-9月期の見通しでも、東京都で8月22日まで4回目の「緊急事態宣言」が発出されたため、非製造業の景況感はさらに悪化しマイナス34.0、製造業は回復を続け20.1と、格差は54.1ポイントにまで広がっていく見通しだ。

問われる感染抑制策~緊急事態宣言を超えて~

このように見ていくと緊急事態宣言の発出は、長野県の非製造業に多大な影響を及ぼしてきたことが分かる。

非製造業は、観光業を含むサービス業のほか、小売業や飲食業など地域の生活を支える産業からなる。

これ以上の緊急事態宣言の発出は、地域経済をさらに疲弊させることになるだろう。

現下の長野県経済のK字に広がった回復二極化を見るに、緊急事態宣言のような感染抑制策は見直すべき段階にきているのではないだろうか。

四半期別業況アンケート調査 グラフ画像

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