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信州観光への思い再び「嬉しい後悔」<2020・06・22>

旅は素晴らしい

暫くコロナ騒動で旅どころではなかった。何しろ移動してはいけないというのだから。

現在、移動についての規制は解かれてはいるが、まだ本格的回復の段階にはない。

そこで過去の旅を振り返り、心だけでも旅をしてみたい。

私の学生時代の趣味はサイクリングで、北海道一周や東北青森への北上の旅を楽しんだ。青森へは、南佐久郡佐久穂町にある自宅から日本海沿いを北上するという正に「みちのく一人旅」だった。

自転車での旅は爽快だ。風を全身に浴び、視界は360度の超広角だ。

北海道に行った際には、東京の晴海ふ頭からフェリーで苫小牧に渡った。色丹半島の先端から見下ろす海は空気のように透き通っており、さすがは北海道だといたく感動をした。

そして、内陸に入り峠道を幾つか超えた。大自然の緑が目に眩しく、ところ狭しと生える木々も本州のより雄大に見えた。まっすぐな地平線を見た時には、お約束通り「北海道はでっかいどう」と叫んでいた。

旅先で考えた、わがふるさと

さてさて、ペダルを漕ぐ大腿筋が張ってくる頃、「この景色、どこかで見たことがあるな」という既視感に捕らわれた。

連なる針葉樹や沿道に這うように生息する高山植物。残雪を残した山々や冷涼な風。時々遭遇するハクビシンとおぼしき動物や、耳鳴りがするほどの野鳥のさえずり。

何のことはない、我が生まれ故郷 佐久穂町の八千穂高原とそっくりな光景なのだ。気温などの自然環境が似ているのだろう。地平線の眺め以外は、佐久平でも味わえる自然ばかりだ。

逆に佐久の八ヶ岳や浅間山のような個性的な山は北海道には少ない。林の中に点在するホテルや喫茶店などは、軽井沢や上高地の方が遥かにこじゃれている。

わざわざ旅に出て旅先にケチをつけている自分の矮小さはあきれたものだが、サイクリングで旅に出てふるさとの素晴らしさを改めて感じたものだ。

素晴らしき我がふるさとよ

このように素晴らしき自然が居並ぶ我がふるさと信州だ。しかし、大学時代の私ではないが、地元の良さというものを知らずして遠くばかりを旅する人が多い。県の統計資料を見ると、長野県内観光で県民が占める割合は全体の4割だ。決して少ないわけではないが、伸びしろは相当にある。

当然、遠方への旅には、近くの旅では得られないものも多くある。だからと言って、地元の旅が否定されるようなものではないはずだ。

私は現在、長野市に住んでいるのだが、ここ数年、県内、それも自宅から1時間圏内の温泉地を巡っては新たな感動に浸っている。

松川渓谷の山田温泉

今年の春先には、高山村の山田温泉を訪れた。数年に一度行くのだが、いつ行っても落ち着く風情が味わえる。

長野市にある自宅から僅か40分程度の場所にある。善光寺平の奥座敷と詠われ、深い緑につつまれた松川渓谷にある。渓谷というものは、不思議と気持ちを落ち着かせてくれるパワーがある。旅館の窓からぼーっと渓谷の新緑などを眺めていると、体の余計な力が抜け、自然と気持ちが上向いてくるのが分かる。

松川渓谷のある高山村のホームページを見ると、このような案内が記されている。「千曲川の支流『松川』が流れる『松川渓谷』は、四季折々の景観が楽しめ、特に秋の紅葉を求めて多くの観光客で賑わいます。この松川渓谷は、深いV字谷を刻んでおり、広い斜面は落葉広葉樹でおおわれ、とりわけカエデ類が多いので、春はビロウドのホワイトグリーンの芽吹き、秋は赤色が卓越した紅葉となります。」

四季折々の景観が楽しめる。どのような季節でもいいから行ってみていただきたい。

石畳・歴史の湯田中・渋温泉郷

我が家から北に1時間圏内の地には、湯田中・渋温泉郷もある。

ここは、武田信玄の隠れ湯の一つであり1,300年の歴史を持つ。ハイセンスな温泉街の石畳は、そこいらの温泉地では滅多にお目にかかれない。

また、映画「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルになったと噂される豪華絢爛な旅館や、従業員自らが旅館業の魅力や自社の取り組みをプレゼンテーションする「旅館甲子園」で2度の優勝を果たしたおもてなしの旅館もある。

さらにここで外せない魅力が「湯めぐり」である。9つの外湯があり、それぞれが異なった源泉と効能を持っている。祈願手ぬぐいを片手に、スタンプを押しながらめぐるというちょっとしたアミューズメント空間である。9つあるため、すべてを回れば9(苦)労を流し、厄除けなどのご利益があると言われている。

温泉好きの私にとって、「浴衣に下駄を引っかけて湯めぐりをするなど、なんて贅沢な時間なんだろう」と都度感動をしている。

超有名な国際リゾート野沢温泉

全部書いてもキリがないので、最後に野沢温泉を紹介したい。ここも家から1時間程度だ。

ここは温泉街が濃い湯けむりに包まれ、一種独特の雰囲気を持っている。この濃い湯けむりの秘密は、100度近いお湯が噴出している場所があるためで、そこでは卵が茹で上がるぐらいだ。通常の生活の一場面で、自然が調理をしてしまう場所などあるだろうか。こうした非日常的な空間が、県内で手軽に味わえるのだ。

温泉街は小さくまとまったコンパクトシティであり、スキー場と近接していることから外国人にも人気が高い。今や外国人が経営するペンションも50件以上に上る。意外に県民には知られていないのだが、観光の専門の方に聞くと国際リゾートとして世界的にも相当に有名なのだという。

ここにも13の外湯がある。地図を片手に温泉街の坂道を一つ一つたどっていく過程が実に楽しい。途中には幾つかの「足湯」もあり、都度ズボンをめくっては足を入れるのだが、なんだか随分と得をした気分になる。

なぜ今まで行かなかったのだろうという嬉しい後悔

このような素晴らしい場所がなんと自宅から1時間程度の場所にあるのだ。これら県内の温泉を、私は東京の知人などに会うたびに自慢をしている。

長野県は温泉地の数が北海道の254カ所に次ぎ231カ所と、全国2位の大温泉県である。宿泊施設でみるなら全国1位だ。

したがって、長野県内各地に住む皆さんも私同様に自宅から1時間程度の場所に温泉が幾つかあるはずである。そして、相当に魅力的な宿もふんだんにある。

ちょっと周りを見渡してもらい、そこの温泉地に出かけてみて欲しい。

このコラムは長野県外の方も目にとめていただくこともあるだろう。随分と長野県ばかりを自慢してしまったが、実は日本中の都道府県は同じようなポテンシャルを皆持っている。ただ多くは地元に興味がなく、それを知ろうとしなかったり、楽しもうとしなかったりしているだけだ。

「我が故郷は素晴らしいところばかりだ」という人は、どこに行ってもそこの素晴らしさを発見し、楽しむだろうし、「ウチの田舎はろくなもんじゃない」と文句ばかり言っている人は、どこに行っても文句ばかり言っている。

今我々に必要なことは、近くの「ないモノねだり」ではなく、「あるモノ探し」だ。

考え方や視点を「あるモノ探し」に代えた途端、「なぜ、今まで知らなかったのだろう。行かなかったのだろう」と嬉しい後悔に見舞われること請け合いである。

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