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拡大するデジタル赤字と進化するAI<2025・2・19>

AIと「お伽衆」

財務省が公表した国際収支統計速報によると、2024年に我が国の海外との貿易や投資による取引を示した経常収支が過去最大の黒字となりました。海外からの利子・配当等である所得収支が過去最大の黒字幅を記録した事が大きな要因ですが、一方で貿易収支やサービス収支の赤字は続いています。特にデジタル収支は年々赤字幅を広げていることが気になります。
具体的にはゲームのサブスクリプションやクラウドサービス、動画コンテンツ、経営コンサルティングなどのサービスで、米国など海外に依存している状況です。今後、海外製の生成AIの利用などが増加することで、赤字幅はさらに広がる可能性があります。

最近、情報収集や相談などの役割をAIが担い始めていますが、これと似たものとして、古く戦国時代には「お伽衆」という役目の者がいました。戦国大名たちは、戦の情報収集や相談する相手としてこのお伽衆を数多く抱えていました。誰よりも多かったのが豊臣秀吉で、一説には数百人とも伝えられています。
人は常に、生きるために必要な情報と、心の支えとなる相談相手を求める存在のようです。

2025年は「AIエージェント元年」

こうした中、最近の生成AIの成長スピードは予想を上回る動きです。昨年12月にOpenAIやGoogleが発表した生成AIの新たな機能追加は、この流れを加速させています。単なる質問に対する回答にとどまらず、より濃密なコミュニケーションと高い付加価値を生み出す環境へと移行しつつあります。このことから今年は「AIエージェント元年」とも呼ばれています。AIエージェントの詳細な定義はありませんが、人間が細かな指示を出さなくても、与えられた目標に向かって自ら作業を分解して、複雑な課題を自律的にこなすことから、より人間に近づいた印象を受けます。

人型ロボットの登場と日本の課題

そして、AIエージェントのさらにその先にあるものとして、生成AIの頭脳を持った人型ロボットに注目が集まっています。既に開発競争も米中を中心に激しさを増しており、米国テスラは26年にOptimusという人型ロボットを数百万円程度の価格で、工場のみならず介護など一般家庭などへの普及を目指しています。日本はこれらの国々の後塵を拝しているのが現状です。
今後、さらに便利なデジタルサービスの登場も予想される中、デジタル赤字はさらに広がる懸念があります。日本にとっては、海外への高いコストに見合うだけのコンテンツやサービスを生み出し続けていくことが不可欠と言えるでしょう。

(初出:2025年2月18日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

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