2022年の日本経済は、コロナ収束とリベンジ消費の動向が鍵
2021年の日本経済を振り返ると、新型コロナウイルス(以下、新型コロナという)の影響による相次ぐ緊急事態宣言の発令で個人消費は弱い動きが続きましたが、製造業を中心に改善しました。
2022年の日本経済を展望すると、政府の経済対策や、これまで抑制されていた消費が反動的に増える「リベンジ消費」により、緩やかに回復していくとみられます。
主な民間調査機関が2021年12月に公表した経済見通し(平均)によると、日本経済の実質経済成長率は21年度が前年比+2.7%であるのに対し、22年度は同+3.1%の見通しです。
生産は、海外でのコロナ感染拡大のリスクは残るものの、5G(第5世代移動通信システム)や自動車関連などの投資需要の増加が予想され、電子部品を中心に増加基調が見込まれます。
個人消費は、Go Toキャンペーンが再開される見込みであり、旅行などサービス消費が増加するほか、自動車生産の遅れに伴い販売が繰り越されていた分の需要の発生により、消費を押し上げる見通しです。
また、海外での感染拡大が弱まり経済活動の正常化が進むことで、輸出や設備投資もさらに増加していくことが予想されます。
2022年の長野県の景気は、緩やかに持ち直す見通し
2021年の県内を振り返ると、新型コロナの影響が各産業に及び、全国同様に厳しい経済状況となりましたが、製造業では国内外でのIT関連投資や自動車需要の増加から、産業用機械や電子部品を中心に生産が増加しました。
非製造業では、内食需要の増加によりスーパーの売り上げは底堅く推移したものの、百貨店は消費者の行動抑制により客数が伸び悩み、衣料品を中心に低迷が続きました。
民間工事は、製造業で設備投資の増加がみられたほか、住宅投資は新型コロナの影響で落ち込んだ反動もあり、持家を中心に増加しました。公共工事は、台風19号災害に伴う復旧工事の発注が一巡したものの、リニア中央新幹線や三遠南信道路関連工事などが下支えし、工事量は高水準を維持しました。
一方、観光関連産業は、宿泊業や旅客業を中心に、引き続き厳しい状況が続きました。
2022年の長野県経済を展望すると、景気は緩やかに持ち直す見通しです。当研究所が調査した22年の県内主要12業種の展望では、9業種が改善を見込んでいます。
国内外向けともに生産の改善が見込まれる産業用機械や電子部品のほか、半導体不足などの供給制約が緩和に向かう自動車部品などは、業況の上向きが期待されます。
また、食料品を中心とした内食需要が底堅く推移するため、スーパーなども堅調な見通しです。さらに、リベンジ消費が動き出し、レジャーを含む消費活動全体は上向くとみられます。
公共工事はリニア関連などにより、引き続き安定した工事量が見込まれます。民間工事では、住宅投資が底堅く推移するほか、企業の設備投資が製造業に加え、これまで抑制されていた非製造業へも波及することが期待されます。
アフターコロナを見据え、新たな観光地づくりを
2022年は新たな変異株の影響が懸念されますが、今後も新型コロナ対策を維持していくことで、感染者数や医療逼迫の状況は回避され、景気は緩やかに持ち直していくことが予想されます。
観光面では、年内は外国人観光客の本格的な回復は見込めないものの、地方への周遊観光は徐々に改善していくとみられます。
こうした中で期待されるのが、県内各地で開催される観光イベントです。飯田市では3月にお練り祭りが、4月から6月にかけては善光寺御開帳や諏訪大社御柱祭が開催されます。
大規模なイベントが続くことで、観光客の県内周遊が促進され、これまで落ち込んでいた観光関連産業にとって、回復の足掛かりとなることが期待されます。
アフターコロナを見据え、改めて地域の観光資源を見つめ直し、観光周遊ルートを検討するとともに、リニア開業に向けた土台を強化していく年になることを祈念します。
(初出:2021年12月26日付 南信州新聞「八十二経済指標」)