1955年創業の藤原印刷株式会社は、複雑な造本や手製本などを得意とする印刷会社です。
現在は、主に教科書・参考書・文芸書・絵本などを手掛ける出版印刷事業のほか、カタログやパンフレット、チラシ、ポスターなど企業向けの印刷物を担う商業印刷事業、電子書籍の制作やレイアウト・デザイン支援などを行う電子書籍事業の3つの事業を軸としながら、活動領域を広げています。
個人の思いを本にするクラフトプレス
イチ押しは、作り手1人1人の本作りを伴走支援する「クラフトプレス」サービスです。クラフトプレスとは、「craft=手作業で作る」と「press=印刷所、出版社」を掛け合わせた同社の造語です。
一般に個人が本を出版する場合、出版社などを通じた自費出版が多いです。しかし、最近は、「ZINE(ジン)」や「リトルプレス」のような出版社を通さずに個人や少人数が制作から流通までを自由に決めて作る方法が盛んになってきています。
同社は、人の個性が異なれば、完成する本も違って当然という考えの下、ストーリーと多様性を持つ本作りをクラフトビールになぞらえて「クラフトプレス」と名付け、作り手の価値観や表現を尊重しながら本作りを伴走支援しています。
クラフトプレスでは、紙質や色、サイズ、ページ数、綴じ方を自由に選べます。さらには「表紙にセーターの生地を張り付けたい」、「古いダンボール紙を本の表紙に使いたい」「1ページごとに異なる種類の紙を使いたい」といった独創的な要望にも1件1件丁寧に対応しています。
制作過程では、工場見学を交えながら世界に1つだけの本を共に作り上げる時間そのものを楽しんでもらうことを大切にしています。

さまざまな紙質やサイズ、ページ数で作られたクラフトプレスは、作り手の思いにとことん応えています
本作りが好きな人たちがつながる心刷祭
クラフトプレスで生まれた本の多くは、ネットやイベントの即売会を通じて販売されていますが、同社は、本社敷地内で「心刷祭(しんさつさい)」を開催することによって、本作りに興味がある人たちをつなぐ場を提供しています。
昨年も全国から本の作り手が集まって、40店以上のブースが設置され、出店者の手作りの本や関連商品が多数展示されました。また、普段は入ることができない印刷工場の見学ツアーやインキ練り体験といった印刷の魅力に触れるワーキングショップも開催され、新たな交流も生まれています。
本を作る喜びを伝え、作りたい人を増やしたい
「作り手の思いや制作過程を知ってもらうことで、『自分も作ってみたい』と感じてほしい。本を作る喜びを伝え、これからも作りたい人をもっと増やしていきたい」と藤原隆充専務取締役は思いを語ってくれました。

本社敷地内で開催された第3回心刷祭の様子。当日は本作りに興味ある来場者でいっぱいになりました